酔いどれ音楽&読書日記―一人の愛好家の独白

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zoom RSS パーヴォ・ヤルヴィ指揮 NHK交響楽団 2/23

<<   作成日時 : 2017/02/23 17:36   >>

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期待しすぎたからか、大いに肩透かしをくらい、がっかりした。まったく感動できなかった。パーヴォ・ヤルヴィはこんなにテンションの低い演奏をする指揮者だっただろうか。N響の弦楽セクションはこんなに非力だっただろうか。唯一の救いは、管楽セクション(特に金管)が大好調だったこと。一階ど真ん中の良席を確保し、平日のマチネーに喜び勇んでみなとみらいホールまで足を運び、損した気分だ。なお、舞台上にマイクが林立していたので、そのうちCD化されるのかもしれない。

・武満徹 『弦楽のためのレクイエム』
・マーラー 交響曲第6番 イ短調 『悲劇的』

個人的な話だが、この曲は全作曲家の全交響曲の中で、一番好きな音楽だ(だから期待が大きすぎるのかもしれない)。とてつもない「巨大さ」に惹かれるのであり、とてつもない「凶暴さ」に惹かれるからであり、とてつもない「美しさ」に惹かれるからだ。そして、楽章ではダントツで第1楽章が好きで、次いで複雑怪奇な第4楽章が好きで、緩徐楽章はまぁまぁで、スケルツォはオマケといったところ。

今日のヤルヴィの解釈は、正直、何がやりたいかさっぱり分からなかった。頭の中が「?」で満たされ、大変困惑した。そもそも、いい演奏だと、頭を空っぽにして、音楽に没頭できるわけだが、今日は、どうも、演奏中に脳みそが稼働し、「?」を発し続けるのである。

まず、強弱が大変不自然だ。例えば、第一楽章の第一主題のリピート部分での恣意的な最弱音。そして、第一楽章のテンポはかなり遅いが、推進力を犠牲にしてまで表現したい「何か」があるようにはまったく感じられない。これにも困惑した。ポリフォニーの妙味もそれほど味わえず、何より、この交響曲できわめて重要な弦が弱すぎる。これが天下のN響の弦セクか? 管に押しつぶされ、痛々しくさえあった。

2楽章はスケルツォ。個人的に、この順での演奏が好きだ。が、非常に退屈した。ヤルヴィはけっこう遊びを仕掛けるが、全然面白くない。そして緩徐楽章はまずまず美しい。

フィナーレは、マーラーの倒錯の頂点のような音楽だが、今日の演奏はスコアのディテールに振り回され、難破船が大洋上を漂うように、目的地のない音楽が連続する。どれだけ低弦が地を抉るような音を出そうとも、トランペットが灼熱の音を出そうとも、絶海の孤島でSOSを絶叫するような虚しさしかなく、要は、「何の意味も持たない」のである。そして、80分に及ぶこの大曲を聴きながら、あろうことか、普段は滅多に感じない、「早く終わらないかな」という感情が、湧き上がって来てしまったのである。

総括すると、まず、ヤルヴィ自身のこの曲への向き合い方に、私は巨大な疑問を抱いた。どんなイメージを描き、何を表現したいのか、申し訳ないが、サッパリ分からなかった。いや、明確なビジョンを持たずに指揮しているのではないか、とすら思ってしまった。フィナーレの途中などでは、ただ音楽を推進させているように聴き取れる部分もあり、「雑な仕事をするなよ」と、喝破したくなった。

次いでN響だが、弦楽セクションは、本気を出していたのだろうか? 必死に弾いているようには見えたが、かなり雑な感じもした。なんであんなに響かないのだろう。管が強すぎたのだろうか。これまで何度もN響を聴いているが、弦の弱さをここまで感じたのは初めてだ。過去、モーツァルトなど聴いた際は、「やはりN響の弦はすごい!」と舌を巻いたのに。

以上。コンサート最初の武満は、何一つ感じるものがなかったので割愛。

ヤルヴィ/N響のマーラーは、昨年末に3番の交響曲をサントリーホールで聴き、これは言語を絶する大名演だった。一言でいうと、「推進力」という言葉に終始する、要は推進力しかない演奏だったのだが、あまりにも吹っ切れており、底抜けて明るく楽天的で、その割り切りが最高で、100分あっという間、爽快な演奏だった。なのに、今日の醜態はなんだ。ヤルヴィはスコアの読みと掘り下げが甘く、N響の弦は堕落し、「ヤルヴィ/N響」というコンビであることの必然的が何一つ感じられなかった。

ということで、今後に期待。ヨーロッパツアーに『悲劇的』を引っ提げてこれから行くということだが、成功を祈る。

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