酔いどれ音楽&読書日記―一人の愛好家の独白

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zoom RSS ダニエーレ・ルスティオーニ指揮 東京都交響楽団 2/26

<<   作成日時 : 2017/02/26 17:20   >>

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非常に複雑な余韻のコンサートである。結果的には満足だったのであるが、演奏にはかなり不満足であったのである。前半のデュカスとレスピーギは面白かったが、ベルリオーズは驚くほど雑な演奏で、怒りが湧いてきたのである。が、指揮者もオケも必死であり、私の周囲の客もノリノリであり、それにごまかされ(?)、「これもありか」という気分になってきて、気持ちよく拍手をしてしまったのである。あぁ、私はなんと怠惰な聴衆なのだろう!

【前半】
・デュカス 交響詩『魔法使いの弟子』
・レスピーギ 交響詩『ローマの噴水』
【後半】
・ベルリオーズ 『幻想交響曲』

デュカスは大変面白く、ルスティオーニのテンポ感覚はなかなかのものだ。それにしても、なんと激しく動く指揮者なのだろう。曲をしめると同時に指揮台上で半回転して客席を振り向く、この屈託のなさ! 心の中で「さすがイタリア人!」と小さく叫んでしまう自分の視野の狭さがイヤになる。

レスピーギの音楽には全く関心がなく、『ローマ三部作』が地球上から無くなったも全く悲しくないのだが、こうしてナマで聴いてみると、存外にカラフルで、楽しく聴けてしまうものである。音がキラキラと光るようであり、終曲の寂寞とした弱音も心地よく、あっという間だった。

そんな具合で必然的に『幻想交響曲』への期待も高まるわけだが、これが、始まってると実に「普通」であり、想像の枠を全く逸脱せず、面白くない。ハメをはずしても何とでもなりそうな音楽なのに、行儀よく、ならば、裏をかいて徹底的に箱庭的にやってくれても面白いのだが、しかしそれなりに迫力があるのである。一体何がやりたいのだ。

そして2楽章は、それなりに美しいのであるが、それほど美しいわけでもなく、弦がワルツを弾いている時に、トランペットやホルンがふわふわと突然前面に浮かび上がってきて、はじめのうちは「きっと計算だろう」と思っていたら、どうやらそうでもなさそうで、これまたたいそう困惑してしまったのである。

そして、大嫌いな第3楽章が始まってみると、これは案外手が込んでいて、面白い。弦のフレージングに気を配っているようで、新鮮であり、ティンパニのロールの繊細なデュナーミクも気に入った。楽しく聴き通せた。

となると、第4楽章からはどんどんノッてくるかと皮算用したら、これまた存外に普通であり、さらに演奏の雑さに磨きがかかってきて、不快感が増してきたわけであるが、ただ、どうやら指揮者もオケも「必死」であることだけは確かなようで、どうも憎めないのである。

そして、フィナーレに入ると、もはや「適当」に弾いているのでは、というくらいの粗雑さなのだが、雑になればなるほど、エネルギーも湧いてくるようで、指揮者もオケもノッているのである。そして、私の周囲のお客さんもみんな首を振ってロックコンサートのようになってきたのである。こうした光景に、普段なら怒りがこみ上げてくるわけだが、曲も曲だし、日曜の午後だし、「まっいっか」と思ってしまい、自分も楽しくなってきて、そのうち会場がどんどん一体化してきて、奔流のようなコーダをぶっちぎって終曲し、かくして会場はブラボーの嵐となったのである。それにしても、激烈なコーダを指揮するルスティオーニの楽しそうなこと! 指揮者は孤独で大変な職業だと思うが、こういう瞬間を見るにつけ、純粋に「これは指揮者の特権だなぁ、うらやましいなぁ」と感じるのである。

かくいう具合に、なんとも複雑で、なんとも楽しいコンサートだった。ルスティオーニの屈託ないステージパフォーマンスは愛敬に溢れている。恐るべきヒューマニストである。心の底から相手を信用しきっている。なんと無防備なのだ!とにかく「いい人」なのである。以前イタリアに行った時、ローマという街のあまりの汚さに辟易し、平然と遅れる列車に唖然とし、日常会話を大声で騒ぎ立てる無神経さにクラクラしたが、それでも、憎めず、むしろ倒錯した愛着を抱いてしまう…と、こんな具合に、今日のコンサートは、私のイタリアへの愛着のように、非常に倒錯した満足感を与えてくれたのである。

そして、そんな「憎めない」指揮者は何者なのかを探りに、終演後当人を直撃したわけだが、やはり底抜けて明るく、バイタリティ溢れ、恐ろしいほどファンサービスがよく、愛敬を振りまき、気さくに語りかけ、人を別け隔てなく接し、オケを褒め称え、感興のおもむくままに振る舞う、「憎めない」人であった。そして私は、彼に「グレート パフォーマンス!」と語りかけてしまった!!

やはり、音楽は人間がやるものであり、あまりにも人間的なものだ、という当たり前のことを気づかされ、帰路につく。それにしても池袋は猥雑でうるさい街である。東京芸術劇場の前にはホームレスと思しき人が複数横たわっており、その脇では家電量販店や眼鏡屋の広告放送が大音量で響き渡っており、絶え間なくパトカーのサイレンが鳴り響き、消費活動にふける「優良市民」で溢れかえっており、ひねくれたクラシックオタク(私)が歩いている。このカオスが恐ろしく、これが日本なのだなぁと、妙に感じ入ってしまった。

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