酔いどれ音楽&読書日記―一人の愛好家の独白

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zoom RSS ラドミル・エリシュカ指揮 札幌交響楽団 3/14

<<   作成日時 : 2017/03/14 22:03   >>

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いやぁ、立派なブラームスだった。素晴らしい。名匠エリシュカと、相性抜群の札響の東京公演。チェコの音楽ではなく、純独墺の、超ド名曲プログラムだ。普段だったら「ナメとんか」とスルーする曲目ラインナップだが、このコンビでなら聴いてみたくて、東京芸術劇場に足を運んだ。平日晩にもかかわらずほぼ満席。人気を物語る。

【前半】
・メンデルスゾーン 序曲『フィンガルの洞窟』
・シューベルト 交響曲第5番 変ロ長調
【後半】
・ブラームス 交響曲第1番 ハ短調

前置きになるが、このコンビの『新世界』のCDは、神がかっているほどの超名演だ。個人的には(録音の新しさ含めて)、ケルテスよりもクーベリックよりもノイマンよりもアンチェルよりも、エリシュカ盤が好きだ。これが、このコンビに期待して今日足を運んだワケだ。

冒頭のメンデルスゾーンから、力感がみなぎった音楽が素晴らしい。テンポはやや遅めだが、踏みしめるような、噛みしめるような運びで、地鳴りのするような音がホールを満たす。「オールドスタイル」といえばそれまでだが、良い演奏であることには変わりない。

続くシューベルトは、曲が曲だけに、「まぁこんなものだろう」という歩留まりの範囲内。第1楽章が、裏をかくような快速テンポで、弦にかなりアンサンブルの乱れがあったのが気になった。エリシュカも、案外メリハリのある指揮をするものである。この演奏の最大の聴きどころは、第4楽章の展開部の、迫真の弦の掛け合い部分だった。

さて、休憩後はブラームス。この曲は、「名演至難楽曲」の最たるものだ思っている。しょっちゅう演奏されているから聴き慣れている、というのが理由ではない。ブラームスのそぎ落とされたオーケストレーションで、その完璧な和声の妙味を再現するには、極めて高度なテクニックと集中力が求められるからだ。ヤンソンスで聴いても、ジョナサン・ノットで聴いても、さっぱり感動できなかった苦い記憶がある(これまで実演で接した中で圧倒的に素晴らしかったのは、アラン・ギルバードと都響による演奏)。

エリシュカ/札響の演奏は、期待を裏切らず、終始力感と緊張感がみなぎった、素晴らしい名演を披露してくれた。とにかく、それぞれの楽器がしっかり鳴りきっており、それでいてオケ全体のハーモニーが緻密にコントロールされている、理想的な演奏だ。85歳のエリシュカの実力はさすがだし、エリシュカを信頼しきって演奏する札響に懸命さにも感動した。

第2楽章の美しさが、ヴァイオリン・ソロの妙技も相まって印象的だが、やはりアレグロ楽章での踏みしめるような歩みと、整然と美しく鳴り渡るトゥッティが魅力的だ。チェコ人の指揮者と、北海道のオーケストラが、こんなに立派で構築感みなぎったブラームスを演奏するのだから面白い。やはり、余計な観念や文字情報は、忘れ去るに限る。

アンコールで、ドヴォルザークの『ユモレスク』。哀愁溢れる旋律にホロっときてしまった。なんとも素晴らしい選曲、いいアンコールである。プログラムにしろ、アンコールの選曲にしろ、エリシュカは「古き(よき)時代」を体現する、生き残りのような指揮者なのかもしれない。

札響の、巨匠に対する敬意に満ちた姿勢も微笑ましかった。良いコンサートだった。

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