酔いどれ音楽&読書日記―一人の愛好家の独白

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zoom RSS 尾高忠明指揮 宮田大(Vc) 大阪フィルハーモニー交響楽団 3/18

<<   作成日時 : 2017/03/18 19:57   >>

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尾高忠明と大フィルによる渾身の超名演に、大感激してしまった。このオケを聴くのは何年ぶりだろう。こんなに「鳴り」のいいオーケストラだっただろうか。金管の一部に不安定さがあったとはとは言え、一体化したドライヴ感が痛快なまでに冴え渡り、この大名曲の、圧倒的な大名演を成し遂げた。「英雄」の冒頭から、その豊かき音圧に涙が溢れてきてしまった。

【前半】
・尾高尚忠 チェロ協奏曲
(Vc 宮田 大)
【後半】
・リヒャルト・シュトラウス 交響詩『英雄の生涯』

最初は、指揮者の父君の音楽。晦渋さはなく、日本風の旋律も織り交ぜられた佳曲だが、演奏時間は40分弱あり、かなりの大作だ。宮田大のソロは力強く、尾高の指揮もエネルギーみなぎる。驚いたのは、大フィルの瞬発力の高さだ。自分の古い記憶の中では、こんなに指揮に俊敏に反応できるオーケストラという印象はなかった。驚きである。

宮田大はアンコールにバッハの無伴奏を1曲披露。強弱のメリハリが美しい演奏だった。ところで、コンサートのたびに感じることだが、協奏曲のソリストのソロ・アンコールは、果たして必須だろうか? というのも、ソリスト側が弾くのをためらっているのに、観客が「協奏曲はソロ・アンコールで締めるもの」と思い込んでいるため拍手をやめず、ソリストが「しぶしぶ」アンコールを弾くような局面に、よく出くわすからだ。力演であればこそ、「お疲れ様でした」と、程よいタイミングで拍手を切り上げる作法もありではなかろうか。「ソロ・アンコールありき」の発想には、どこかいやらしさを感じてしまい、素直になれないのである。

後半は『英雄の生涯』だが、これは尾高と大フィルの相性の良さを最大限に示すとともに、尾高の円熟の音楽づくり、大フィルの良質なアンサンブルを、余すところなく表現し尽くした、徹頭徹尾の大名演であったと断言する。不満点は、やや不安定なホルンなどの金管のみ。それ以外は、大感涙もののパフォーマンス。

冒頭から「ブワッ」と包み込んでくるような音圧。尾高の指揮には、とにかく余裕と風格があり、決して肩肘張らない。同時に、清潔感がある。音がぐちゃぐちゃと混濁しないのである。分離がはっきりしていて、なおかつアンサンブルはきれいに刈り整えられており、耳に素直馴染む音なのである。そして、特筆すべきは、一筆書きで、ドラマの盛り上がりを明確に浮かび上がらせる構成力である。「ツボ」を徹底的に心得ており、「英雄」「英雄の戦場」「英雄の業績」での輝かしい力感に満ち溢れたフォルテと、「英雄の伴侶」などでのシュトラウス節のむせ返るような陶酔美が、ベストブレンドされているのである。

大フィルの即応力もすばらしい。尾高の的確なキューを、存分に音にして返す。低弦のすばらしい厚みと、ハーモニーに絶妙に溶け込む管、そして、リズムの基軸を、これ以上ないほど鮮やかに支えてみせる打楽器など、全てが最高。多少の瑕疵があっても、決して全体の品質は下げない。コンマスの絶美のソロにも大拍手である。

50分近い壮大な絵巻物を聴き終えた後には、もはや言葉を絶するような感動に心がビリビリと震え、感動で涙が溢れ続けた。メータ/VPOやルイージ/SKDなど、数々の実演を聴いたが、感動はきょうが圧倒的に大きい。なぜだろう。「表面的で中身がない音楽だ」と、この曲を蔑む向きがあるけれど、それではいったい「中身がある音楽」とは何なのだろう。

尾高氏は、来年から大フィルの音楽監督となるそうだ。終演後、記念のスピーチがあり、大フィル愛を滔々と語っていた。「大フィルもいい指揮者を迎えたなぁ」と嬉しくなった。尾高氏は70歳くらいだと思うが、そのキャリアと実力は、間違いなく現役トップクラスだろう。ぜひ長きにわたってコンビネーションを組み続けてほしい。ブルックナーやマーラーにもぜひ取り組んで、「朝比奈時代」の再来となるような黄金期をもたらしてほしい。このコンビにはそれが可能なはずだ。今日の演奏を聴いて確信した。

ホームグラウンドとなるのはフェスティバルホール。土佐堀川が横を流れ、「水の都」大阪を象徴する、美しく洗練されたロケーションにある。今は東京住まいだが、たまにはぜひこのコンビを聴きに来阪したいと思った。

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