酔いどれ音楽&読書日記―一人の愛好家の独白

アクセスカウンタ

zoom RSS ファビオ・ルイージ指揮 ニコライ・ズナイダー(Vn) NHK交響楽団 4/16

<<   作成日時 : 2017/04/16 19:21   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

久々のファビオ・ルイージだが、相変わらず動的であり、エネルギッシュであり、力感に満ち、歌わせ、盛り上げ、サービスの限りを尽くす、魅力的な音楽だった。頭のアイネムから、最後のマーラーまで、徹頭徹尾エネルギーに貫かれ、ズナイダーの貫禄抜群のソロは、広大なNHKホールを、たった一梃のヴァイオリンで支配する。きょうのN響は、NHKホールにあって、何とも鳴りがいい。

【前半】
・アイネム カプリッチョ
・メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 ホ短調
(Vn ニコライ・ズナイダー)
【後半】
・マーラー 交響曲第1番 ニ長調 『巨人』

アイネムの曲は初めて聴いたが面白く、小気味よく、何よりN響がよく鳴る!コンサートの幸先良しである。

そして、巨漢のズナイダーが弾いたメンデルスゾーンに驚嘆。これまた音が鳴る、鳴る!響く、響く!巨体は音を出すのに有利なのだろうが、広大なNHKホールに、小さなヴァイオリンから紡ぎ出される響きが満ち満ちて心地よい。冒頭こそやや荒くて雑だが、その後はすこぶる丁寧、繊細に引き込まれ、歌われ、ルイージの伴奏はきわめめ質実で踏み外したところがなく、推進力に溢れる。この曲のカーテンコールで、これほとソリストにブラヴォーが飛ぶのは稀だ。

この曲、昨年末からやたらと聴く機会が多く、ベル&ハーディング、レイ・チェン&サラステ、五嶋龍&インバルと聴いてきたが、ある意味一番正統派で、王道を行っていたのは、きょうのズナイダー&ルイージかもしれない。

ズナイダーは、大昔にゲルギエフとの共演でチャイコフスキーのコンチェルトの実演を聴いたことがあるが、その時はもっと線が細かった。いつの間にこんな恰幅のいい、貫禄のあるソロを弾くようになったのだろう?嬉しい限り。アンコールにバッハの無伴奏の1曲をサラリと弾いた。ルイージがオケの席に混ざって聴いていたのが微笑ましかった。途中、オッサンのイビキのようなノイズが響き渡って冷や汗が出た。勘弁してくれ。

マーラーはルイージの独壇場だ。N響は恐ろしく献身的で、近年稀に見るほど「ノッて」いる。ルイージの動的な指揮は意図するところが明瞭だが、さすがN響、その指示へのレスポンスが120%ハマっているのだ。微細なフレージングから思い切ったデュナーミクまで、文字通り完璧で、さぞかしルイージも満足だったに違いない!ルイージはかなり大胆にテンポを揺らすが、造型は確たるもので、決してぶれず、踏み外しすぎない。ここがさすがだ。

時々、トゥッティで、音楽の総体が、実態以上のものに、あたかも蜃気楼のように、巨大化して感じられる瞬間が何度かあった。これこそ、アンサンブルを超越した、「和声感」だと確信した。私自身のこの言葉の定義は、「オーケストラにおいて各奏者の力量と表現力が最大化された、その総和」であるが、まさしくそれであると思った。

迸る炎のような、うねる奔流のような、凄絶なマーラーであったが、「これがベストだ!」とは断言しづらい。というのも、ちょっと個性的すぎて、スコアをかなり「いじっている」感じがするからだ。でも、それはあくまで好みの問題で、恐ろしい名演であるとは思った。N響も心底満足したのであろう、珍しく、オーケストラは起立しない「指揮者のみ」のカーテンコールを、2回も用意した。オケとしても、「出し切った」演奏ができたのだろう。ルイージのあの燃え盛る指揮に、煽られないほうが難しいのかもしれない。

それにしても、この曲、指揮者泣かせである。美メロには溢れているが、とにかく一貫性がなく、フォルムがかなり曖昧だ。相当な設計力がないと座礁する。細部にこだわりたくなる気持ちを掻き立てるオーケストレーションでありながら、ハマればハマるほど収拾がつかなくなる。だから「名演至難楽曲」なのだと感じる。その点、ルイージの設計力と音楽センスはさすがである。

なお、本日の第3楽章冒頭のコントラバス・ソロのパートが、なぜかコントラバス全員で弾かれて、ズッコケそうになった。「???」となってしまい、しばらく演奏に集中できなかった。調べたところ、国際マーラー協会と全集版の指示に従った、とか言うことだそうだ…。

この曲も、昨年末から、ティルソン・トーマス、インバル、カンブルランと実演を聴き重ねてきたが、この中ではやはりインバルかルイージ(スタイルはまったく異なるが)。

それにしても、N響とルイージは、抜群に相性がいいのではないだろうか?クールな感じがするヤルヴィともずいぶんタイプが違うルイージ、何らかのポストで遇するのもいいのでは、などと少し感じた。

東京は、もはや暑さを感じる。コンサート仲間とビールをひっかけ、コンサートを聴き、日暮れの渋谷を帰路に。楽しいひと時だった。もはや初夏のような陽気と、コンサートの高揚感に後押しされ、お高い新酒の一升瓶を買ってしまった…。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ファビオ・ルイージ指揮 ニコライ・ズナイダー(Vn) NHK交響楽団 4/16 酔いどれ音楽&読書日記―一人の愛好家の独白/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる