N響客演指揮者、プレヴィンとブロムシュテットのリヒャルト・シュトラウス

 N響の首席客演指揮者に、アンドレ・プレヴィンを迎えるそうである。2009年10月から三年契約で。
 
 プレヴィンは1929年生まれなので、今年で80歳。継続的に来てくれるとは嬉しい限りである。前回来日時の映像をみる限り、まだ元気そうだ。そして、演奏そのものはまさに巨匠の風格である。モーツァルトは特にすばらしかった。弾き振りで24番のピアノコンチェルトをやっていたが、17番などもやってもらいたいものだ。
 それにしても、以前レコード芸術誌か何かのインタビューで述べていたが、プレヴィンほどの大物になっても、最近レコーディングの機会がめっきり減ってしまったようだ。というのも、本人はレコーディングへの意欲はかなり強いのであるが、どうもゴーサインがでないらしい。
 そして、そのインタビュー時にプレヴィンが挙げた作曲家が、なんとブルックナー。プレヴィンのブルックナーとは、確かに盲点である。だから、N響への客演時にも気を利かせて第7交響曲でもプログラムに入れてもらえないだろうか。これは事務局へお願いせねばならないのかな。とりあえず、私は無策である。
 
 ちなみに、プレヴィンというと、ウィーンフィルとの一連のリヒャルト・シュトラウス録音が名高いが、確かにいずれも名盤ぞろいである。『アルプス交響曲』にしろ、『英雄の生涯』にしろ、オーケストラの美感を尊重し、まさに中庸の美を得ている。ただ、何度聴いてもいまいち良さが分からないのが『ばらの騎士』組曲を中心とした、楽劇からの管弦楽曲抜粋版(DG)。このコンビのリヒャルト・シュトラウスの『ばら』組曲だと思って高価な輸入盤に飛びついたのだが、どうも支離滅裂で統一感に欠ける演奏だと感じた。ワルツもあまり美しく聴こえてこない。
 
 ちなみに、最近これまたすばらしい『ばら』組曲のCDと出会った。

ブロムシュテット/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

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 この指揮者とオーケストラのコンビネーションによる録音は、どうも短期間で廃盤に回される傾向があるように思うが、このCDに収められた演奏は、音楽的にも、カップリングの面でも、そして演奏的にも、面白く、優れている。興味のある方は、早く手に取られるとよいと思う。
 ティボーデをピアノ独奏に迎えたブルレスケは、ロマンティシズムに彩られた名曲である。ティボーデとドイツ音楽はあまりイメージが重ならないかもしれないが、同じくブロムシュテット指揮のゲヴァントハウス管弦楽団と組んだ、メンデルスゾーンのピアノ協奏曲集の名盤がすでに残されている。
 『カップリッチョ』の音楽は名高い名曲だが、このCDの主役はあくまで『ばらの騎士』組曲だ。というか、「組曲」ではなくて、「ワルツ」のみが抜粋されて、いわば『ばらの騎士』ワルツ集のような形で収録されている。
 全曲盤は長大なこの楽劇も、20分ほどのワルツに凝縮して聴くと、とてもとっつきやすく、親しみやすい作品だ。度重なる転調は、どこか諧謔的な雰囲気をも醸し、「この音楽は20世紀音楽なのだな」、とはっとさせる。音楽のパロディという点では、ショスタコーヴィッチの音楽とも共通する要素があろうし、転調の妙味に関しては、昨日のストラヴィンスキーに関する小論でも触れた。
 そして、一番面白いのはブロムシュテットの解釈。この指揮者はこれほどまで大胆にルバートをかけたり「溜め」をつくったりするのかと、ブロムシュテット再発見の連続である。

 現在世に出回る「組曲版」の『ばら』の中でも、もっとも親しみやすく、優れた演奏で聴かせるディスクであろう。編曲も冴えているが、終わり方がどうも陳腐のような気がする。ここだけは残念。

 数年前大阪で聴いたブロムシュテットのブルックナーは圧巻だったが、これを書くと収拾がつかなくなってくる。また機会を改めたい。

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