セバスティアン・ヴァイグレ指揮 東京二期会 『サロメ』 6/9

久々にサロメの実演を観る。二期会の公演で、ピットに入るのはセバスティアン・ヴァイグレが指揮する読売日本交響楽団。二期会は、4月にマスネの『エロディアード』(ドイツ語読みするとヘロディアス)というオペラを演奏会形式で上演しており、今回の『サロメ』と合わせて「2つのサロメ」プロジェクトが完結するとの由。きょう改めて『サロメ』を観て、やっぱりこの楽劇は大傑作だと納得した。

ヴィリー・デッカーが演出した今回の舞台、基本的には非常にオーソドックスな演出で、基本的なストーリーラインは踏襲。なので安心して観られる。舞台奥に向けて広大な階段状になっている装置もシンプルではあるのだが、自分自身4階席に座ったので、舞台奥、階段上方で演技や歌唱をされても全く見えない。これは非常にフラストレーションがたまった。しかも、「7枚のヴェールの踊り」のような肝心なシーンもこの舞台奥で展開される部分があるので、何が起こっているのかさっぱり分からず。

この「7枚のヴェールの踊り」の場面に関しては、もうこのご時世ヴェールを脱いでいく、ド直球の演出はさすがにないだろうとは思うのだが、今日はヘロデ王をサロメが誘惑するような場面が延々と続き、いまいちよく意図が分からなかった。それと、フィナーレは、サロメが殺されるのではなく自刃するという演出だった。サロメが自刃する演出は過去にも観た記憶があるが、自分自身の鑑賞眼では、デッカーが踊りの場面やフィナーレの場面を多少「読み変えた」真意がよく分からなかった。あと、サロメやヘロデ、ヘロディアスなど主要登場人物は、みんなスキンヘッドだった(ように見えた)。これにも何か意味があるのだろうか?

歌手陣はそれなりに健闘していたが、MVPはやはりサロメの田崎尚美だと思う。ヨカナーンの首を手にして以降の絶唱には、もう少し狂気を感じたかったが、ヘロデに執拗に首を求めて食い下がるあたりの不気味さは素晴らしかった。そして、片寄純也のヘロデ、清水華澄のヘロディアスも役柄によくハマっている。萩原潤のヨカナーン、健闘はしていたが、声量が厳しく、やや残念。やはりこの預言者には、朗々と響くドスの効いた重低音が必要だろう。

生真面目さ、生硬さが時折気にかかるセバスティアン・ヴァイグレの指揮だが、きょうの『サロメ』は、これまでのヴァイグレの実演の中では一番違和感なく聴くことができた。フランクフルト歌劇場のシェフとしての本領を発揮し、音楽全体の流れが非常にいい。そして、シュトラウスの音楽の妖艶さ、美しさ、不気味さ、それぞれの要素をハッタリなく、過不足なく表現した。突き抜けた迫力や狂気が感じられたわけではないが、練られた解釈だと思った。読響もよく反応している。このコンビのシュトラウスでは、以前同じくこの文化会館で『ばらの騎士』を聴き、その折も悪くはなかったが、やや一本調子で余韻が持続しなかった。きょうの『サロメ』、『ばらの騎士』よりもコンパクトな100分程度の作品でもあるので、いっきに楽しめた。

東京での二期会の『サロメ』4公演の裏で、昨日大阪ではシャルル・デュトワ指揮の大フィルによる『サロメ』があった。これにも行きたかったが、仕事等あり、あきらめた。

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