【inニューヨーク】ブロードウェイ・ミュージカル 『Dear Evan Hansen』 9/25

ニューヨーク3日目は日中帯ほとんど仕事。早朝から一仕事し、2時間ほど時間ができたため、地下鉄に飛び乗ってマンハッタンを一路北へ。セントラルパークの北側に広がる黒人街、ハーレム地区を散策。地下鉄駅から地上に上がると、そこがハーレムのメーンストリート。怪しげな石を売る露天に、明らかにヤク中っぽいオッサンに睨み回されはしたものの、治安はいたって普通。スプレー缶の落書きや、ファッション・ショップを眺めながらブラック・カルチャーの一端を感じ、心踊る。教会にフラッと足を踏み入れると、祈りを捧げたり、思い思いに談笑する人たち。『天使にラブソングを』を彷彿とさせる世界。

そそくさとハーレムを後にし、しばらく仕事に没頭。19時半ごろ終了し、そこからお待ちかねのお楽しみタイム!この日のメトの演目はヴェルディの『マクベス』で、プラシド・ドミンゴやアンナ・ネトレプコ出演(あれ?ドミンゴってセクハラで告発されてなかったか?)ということもあり、そそられるものがあったが、なんと、余っていた席のチケットが500ドル超!さすがに手が出なかった。しかし、オペラはさておいて、ニューヨークには最高の夜の楽しみ方がある。そう、ブロードウェイ・ミュージカルだ!ということで、前夜に引き続いてtktsに繰り出す。なお、ニューヨーク・フィルのコンサートとは今回あいにくタイミングが合わず。

tktsでは、ダフ屋が声を張り上げて『ハミルトン』のチケットを売っており、正直これにもそそられたが、ここは正規チケットを買うこととし、窓口にて『Dear Even Hansen』のチケットを購入。友人に勧められた作品で、トニー賞を総なめにしたミュージカルとのこと。引きこもりの少年が主人公で、周りを幸せにしようとしてついた嘘をどうするのか、というのが大まかな筋書き。SNSでの炎上などの要素も散りばめられ、かなりジャーナリスティックな内容。

これまた、役者の息遣いまで聞こえるようなコンパクトな劇場で、舞台すぐそばの席(1階平土間席のことを、ミュージカル業界では「オーケストラ」と呼ぶらしい)での観劇。あまりの素晴らしさに心が震えるほど感動。不安障害の主人公の少年を演じるのは、なんと弱冠17歳くらいの俳優で、彼の演技が鳥肌モノの素晴らしさ!表情の一つひとつから、細やかな仕草、さらに、澄んで伸びやかな歌声など、完全に役柄が憑依している。バケモノである。さらに、その他脇を固める俳優陣がこれまたとんでもなくうまい。水曜20時開演で、客席は満席。観客は鼻をすすりながら、食い入るように舞台に見入る。素晴らしく豊かな時間。アメリカのエンタメ界の奥深さに打ちのめされる。圧倒的な3時間で、終演後は熱狂的な反応。アルコールは一切抜きに食い入った。

この時23時。まだ、23時だ!ここからさらに楽しめるのがこの街の凄さ。ということで、ブロードウェイから早足でリンカーン・センターへ急ぐ。そう、ジャズのナイトクラブ、ディジーズ・ハウスでのレイトショーを楽しむのだ。開演は23時半。ギリギリ滑り込む。セントラルパークに隣接するビルの5階。入って息を呑む。ステージの背景は総ガラス張りで、そこにはマンハッタンの摩天楼の夜景が広がる。眼下にはセントラルパーク。

そのステージで、ジャズ・セッションが繰り広げられる。この日はこの時までノン・アルコール。ということで、ビールとポテトを注文し、ここから1時間超、至福のジャズタイム!とにかく酒が進む!こんなに贅沢な空間と時間があるだろうか!テナー・サックスの音色が脳天に突き刺さる。まるで麻薬のように官能的だ。ピアノ、ベース、トロンボーン、ドラムが即興の妙技を次々と畳み掛けていき、眼前で繰り広げられる弩級のパフォーマンスに興奮が止まらない。そろそろウィスキーでも飲もうかと思った午前1時前、あっけなく会計のレシートを渡されてしまった。もっともっと楽しみたかった!

最高の気分でホテルへの帰路につく。真夜中のマンハッタンはまだまだ眠らない。もう少しバーで飲もうかと思ったが、翌朝も5時から仕事だったので、諦めてお開きとすることに。

それにしても、金こそかかるが、なんと刺激的な街なんだろう。人間の根源的な欲望をここまで開放させる街は初めてだ。自分にはまだまだこんな欲が眠っていたのか!この世界にはまだまだこんな楽しみがあるのか!そんな感興が、マグマのように身体の奥底から湧き上がってくる。全てが弩級で、突き抜けている。この雑多なカオスの中から、渦巻くようなエネルギーの磁場が生み出され、奔流となって人々の心を搦めとる。恐ろしい街だ。1週間単位で滞在し、ミュージカル、ジャズライブ、そしてオペラ、オーケストラをハシゴしたら、どれほど楽しいことだろう。底知れぬこの街のポテンシャルに、完全にlock-onされてしまった!

心の痺れるような負荷をかけられながら必死に働いて、誰も見たことのないようなやり方で金を生み出し、その重圧を弩級のエンタメで開放し、また働いて金を稼ぐ。こうして際限なき日常に人々を放り込んで、人間のポテンシャルを、そして市場の可能性を高めていくのがニューヨーク流なのだろう。資本主義とは恐ろしいものだ。正直、いつまで成長経済を追い求めているのだと、この世の中の愚かしさを唾棄したくなることもこれまでままあったが、資本主義がここまでしぶとく支持されて世界に息づく根源を、肌身で実感した思いがした。

翌朝、早朝の仕事を終え、セントラルパークを散策し、ジョン・レノンがかつて住んだダコタ・ハウスなども見て、再びJFK空港から帰路に。

次、この街に来るのはいつだろうか。必ずカムバックしたい。

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