アンドレア・バッティストーニ指揮 清水和音(p) 東京フィルハーモニー交響楽団 9/15

横浜音祭り、とかいうイベントがあるそうで、本日はその一環、バッティストーニ指揮東京フィルのみなとみらいホールでの公演。冒頭に、このフェスティバルのために委嘱された短いファンファーレがバッティストーニの指揮により演奏され、続いて清水和音の伴奏による合唱メドレー、「赤い靴〜浜辺の歌〜花」と続く。合唱は横浜児童合唱団。合唱は澄んだ声で、編曲はピアニストの阪田知樹との由。どうりで、ピアノ伴奏パートがすこぶる技巧的で、多少ドギツい感じも。合唱終わりで舞台転換のための休憩が20分。仕方ないとは言え、開始早々20分休憩はダレる。

オーケストラコンサートは、ヴェルディの『運命の力』序曲とショパンのピアノ協奏曲第1番、そしてムソルグスキーの組曲『展覧会の絵』(ラヴェル編曲)という超名曲プロ。バッティストーニの得意曲が並んでいたのでチケット購入。が、きょうのコンサートは個人的に少々不満。

『運命の力』序曲は、冒頭の鋭角的でザラついた金管の表現から指揮者のこだわりが表出する。しかし、金管は良いにしても、弦が全く振るわない。この印象は、きょうの演奏通じて全体的に言えること。東フィルの悪い面が出た。当たった時は、音が分散するオーチャードホールをしっかりと震わせる音を出すが、外れの日は、カスカスの、脂身の抜け切ったササミ肉のような音を出し、艶っぽさのかけらもない。バッティストーニが振った時の演奏会では、これまであまり外れがなかったのだが、きょうの鳴りはイマイチ。演奏には指揮者ならではのメリハリはついているが、音そのものに魅力が感じられないので、幸先悪い出だし。

しかも、続くのがショパンのピアノ協奏曲、しかも第1番なので、あのオーケストラパートをこのオケの音色で聴かされるのは辛い。冒頭のどんよりとした出だしからもう辟易としてしまい、身体が拒絶反応を起こして第1楽章はダウン。第2楽章はピアノソロが長いのでしっかり聴いたが、初めて生で聴く清水和音、なかなかゴージャスな音を出す。第3楽章も、どちらかというと骨太なソリストのピアノの音色を楽しむ。このコンチェルトのオケパートは本当にキツい。何か楽しめる仕掛けを繰り出してくれないと、なかなか素直には楽しめない。

そして、ただでさえ冒頭の休憩でダレていたこのコンサート、清水和音がなんとアンコールに『英雄』ポロネーズを弾き始め、正直「えっ!?」となった。この長大なコンサートでアンコールにこれが来るとは…。ところが、さすがは大ピアニストだけあり、とんでもない力演を聴かせた。ミスタッチはほとんどなく、とにかくバリバリと、ホールにグランドピアノの強音を堂々と響かせるショパン。華やかであり、剛直でもある感じ。「品のいいオッサンのショパン」みたいな。これはこれで、聴ける。『英雄』ポロネーズは、清水和音の持ち味が生きる作品なのかも。

個人的なお目当は最後の『展覧会の絵』だが、これは正直ガッカリ。というのも音がカスカスだからだ!管は良かった。が、弦が全く冴えない。そして、打楽器もどうも締まりがない。ディテールにはかなり手が加えられており、呼吸法などは明滅自在でユニークな節回しも頻出するのだが、それを補って余りあるほど、音に色気がない。特に、こういう組曲だと、曲がプツプツと細切れに進んで行くので、一曲一曲でしっかり聴かせてくれないと、印象がとっ散らかって散漫なままダラダラ進んだしまう。きょうは、どうも指揮者とオケの丁々発止な感じがしない。最後の最後、「キエフの大門」はボチボチ盛り上がったが、最後の最後だけこんなことやられても、白けてしまう。どうせ短い曲なのだから、最初からしっかりやってくれ。客席は盛り上がっていたが、自分は満足できず。

アンコールはやるだろうなと踏んではいたが、なんと児童合唱が再登場。チャイコフスキーの『くるみ割り人形』から「雪片のワルツ」。児童合唱の声は澄んでいて本当にキレイ。だが、正直、児童合唱ありきでの選曲だからか、あえてアンコールとしてこの曲をやる必要があるのか腑に落ちないまま終曲。

正直、企画先行型で、聴き手の心理への配慮が欠けた演奏会だったと思う。いくらなんでも、冒頭に10分少々チョコっと演奏があっていきなり20分休憩なんて有り得ないし、休憩挟んで『運命の力』をやってまたピアノを配置するための舞台転換でダレる。さらに最後の最後もアンコールのために児童合唱が登場。開演時間が16時と遅かっただけに、正直「一体何時まで引っ張られるのだ?」と思った。終演は18時45分。長大な演奏会だった。

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