アンドレア・バッティストーニ指揮 木嶋真優(Vn) 東京フィルハーモニー交響楽団 9/22

3日連続コンサートで、きょうはバッティストー二の振る東フィル。メイン・プログラムはホルストの『惑星』。昨日おとといとマーラー5番の2連続に続いての『惑星』なので、3日続けて大音響プログラム。ただ、きょうの前プロはなんとヴィヴァルディの『四季』。超小編成と超巨編成の不思議なプログラム。

『四季』は正直まったく普段聴くことがない音楽。大昔は心踊らせて聴いたが、齢を重ねてひねくれるにつれて、退屈な音楽だと感じるようになり、録音含めてほぼ聴くことがなくなった。一昔前はイ・ムジチ合奏団の代名詞のような楽曲だったが、もうああいうスタイルでは聴いていられないくらい古楽に馴染んでしまった。

きょうの編成はおよそ20人で、ソリストは木嶋真優。以前、新日本フィルとのブルッフのコンチェルトで聴いて以来で、その際はあまり印象に残らなかった。しかし、きょうはなかなか端正で良い。音がとてもみずみずしくて、若さが生きる。すみずみまで丁寧にフレーズを弾き、伸びやかかつ爽やか、そしてキレのあるリズムが心地よい。

イ・ムジチがそうであるように、この曲は指揮者なしで演奏するもんだという刷り込みがいつしか出来上がっていたのだが、きょうは恰幅の良いバッティストーニが舞台ど真ん中で指揮に立ち、通奏低音を兼務することなくチェンバロにも奏者を配する。ならば、指揮者がいることの付加価値をしっかりとつけてくれることを期待するわけだが、きょうのバッティストーニ、その期待にしっかり応えてくれた。古楽の影響らしきものはほとんど感じないが、主観で捉えたユニークなアクセントやフレージングでメリハリをつけ、退屈させない。小回りよく、鮮やかに音楽を印象づけていく。

改めて聴くと、やはり「秋」が一番心に響く。素朴であり、どこか懐かしさよある。昔、齋藤秀雄がこの曲を指揮する映像を観た記憶があるが、流麗なレガートを徹底した、古色蒼然たる演奏だった。きょうのバッティストーニも、一部滑らかなレガートで味を加えるが、キレは抜群に良い。いずれの良し悪しではなく、時代の変遷を実感する。ソリストはアンコールなし。妥当な判断だと思う。客電を早く上げてくれたのが良かった。

後半は編成をいっきに広げてのホルスト。バッティストーニはやはりこういう大編成の色彩感のある、表題的な音楽を確信犯的に振りまくっていて、これはこれでオリジナリティだと思う。いずれ王道的なシンフォニーはもっともっと聴いてみたいけど。

正直、火星と木星くらいしかよく知らない組曲だが、改めて聴くとやはり鮮やかでド派手でぶっ飛んだ音楽。しかも要所要所精妙で美しいし、海王星の最後、神秘的な女性合唱が明滅しながら消えゆく様など音響的に鳥肌モノだ。バッティストーニは巨大な体躯を目一杯に生かして全身で大きな指揮をしながら、轟音を引き出す。先日のみなとみらいでのカッスカスの『展覧会の絵』とは比べ物にならない豊穣な音。これでこそバッティストーニ。こないだの演奏は一体何だったのだ??変拍子も多用される難曲を目立ったミスなく弾ききった東フィルにも拍手。素晴らしい。

曲が曲だけに、圧倒的に深い感銘や余韻、とはならないものの、やはり大オーケストラの音圧に身をさらすと独特の満腹感はある。心から楽しめたコンサートだった。

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