セミヨン・ビシュコフ指揮 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 10/28

去年、前任ビエロフラーヴェクの死去を受けてチェコ・フィルの音楽監督に就任したビシュコフが、手兵と来日。オケのお国もの、スメタナの連作交響詩『わが祖国』を披露した。

月曜夜のサントリーホールはかなりの入り。舞台上に置かれたシックな指揮台がオケの歴史を象徴するよう。ただ、個人的にはチェコ・フィルの印象はあまり良くなく、たぶん実演は10年ぶりくらい。前回は大阪のザ・シンフォニーホールでブロムシュテットの来日公演を聴いたのだが、まぁこの時の『新世界』とブラ1がひとがった。オケがガタガタで、音はカスカス。ドヴォルザークに微塵も共感している様子がなく、さらにブラ1も脂が抜けきった極めてつまらない演奏だった。これはブロムシュテットとの相性の悪さを示したものだと思うが、昔からチェコ・フィルはフルネとかデュトワとかブロムシュテットとか日本と馴染みの巨匠とばかり来日するケースが一時立て続き、ちょっと商業主義を疑っていた。その後、マーツァルやビエロフラーヴェクといった母国路線に回帰するわけで、マーツァルとのマーラーなどは録音で聴く限り聴くべきものもあるよう感じたが、ビエロフラーヴェクとのドヴォルザークの交響曲は、これまた録音で聴く限りあまり感銘を受けなかった。チェコの音楽に関して言うと、ここしばらくはエリシュカの録音がおれば十二分に事足りるという感じだった。

そこに、今回のビシュコフ就任。さてどうか。結論として、きょうの『わが祖国』は相当な名演だった。オーストリア支配下のチェコで、スメタナが民族主義を奮い立たせるために書いたこの音楽。ビシュコフはその民族主義を煽ることなく、交響詩と言えども極めて純音楽的な解釈。音楽には終始品が貫徹され、これがチェコ・フィルの音色と完璧に調和する。以前はカスカスだと感じだチェコ・フィルの音色、久々に聴くとなかなか味わい深い。オケが自らの明確な音色を持っている。昔はこのオケに対する「ビロードのような弦」という形容が胡散臭くて大嫌いだったが、きょう改めて聴くとあながち的外れな形容ではない。

プログラムに書かれいた解説を読んで納得したのだが、このオケの本拠地、プラハのルドルフフィヌムは、かなり小ぶりのホールだ。私もかつて一度だけ訪れたので、その小ささをよく覚えている。だから、あまり大きな音を出すパフォーマンスを求めても仕方ないのだ。派手さではなく、その渋さの中に味わいどころを探す。そんな聴き方をきょうは楽しめた。

とにかく、個人的にはビシュコフの音楽性に共感する部分が多い。この指揮者、本当に音楽に奉仕する人だ。以前N響とのヴェルディのレクイエムの実演を聴いて大いに感動を受けたし、ケルン放送響などと入れた一連の録音も名盤揃いだった。本日は一般参賀あり。

チェコ・フィルへの印象が上書きされると同時に、やはり自分はビシュコフの音楽性が好きなのだと感じだコンサートだった。アンコールはなし。当然、いらない。

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