ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団 11/17

先日台風で聴き逃したジョナサン・ノットと東響コンビをミューザ川崎で聴く。プログラムはベルクの『管弦楽のための3つの小品』とマーラーの交響曲第7番『夜の歌』というヘヴィーなもの。

そして、プログラムもヘヴィーだが、とにかく演奏自体が超絶的にヘヴィーで、疲れ果てた。恐ろしい重量感のコンサートである。ベルクからして、一切手を抜かないのだが、マーラーがとにかくものすごい。

この交響曲、難解で晦渋な音楽と捉えられることが多いが、どちらかというと、その陰影をあえて際立たせず、一筆書きでストレートに表現する演奏が近年多かったように思う。例えば、宇野功芳氏が推すシャイー盤など。自分が直近で接したこの曲の実演は去年のPMFでのゲルギエフの演奏だが、これまた何の溜めもなくすいすいと進撃する快速の演奏で、何らしんどい思いをすることなく、全曲を聴き通せた(だがいま全く演奏が記憶に残っていない)。

きょうのノットの解釈は、この真逆。一点の容赦もない。この交響曲の細部の複雑な書法を白日の元にさらけ出し、さらにそのディテールを「これでもか」とばかり引き延ばして聴き手にぶつけてくるような解釈だ。テンポも物理的に遅めだし、何より、これだけ複雑な音楽なので、一歩解釈を誤れば完全に音楽が空中分解するのだが、その瀬戸際で仕掛けにいっているような、勝負師の解釈である。とにかく、予定調和とは一切無縁。そして、結果的にまったく破綻がない。指揮者とオケのコンビネーションの賜物だ。

東響は、弦がやや息切れしている印象を受けたが、管と打は絶好調で、とりわけ冒頭の深遠なユーフォニウムの響きが無条件に素晴らしい。そして、ティンパニが驚くほどに雄弁だ。この奏者、前から注目していたが、オケ全体の重心をズシンと定めさせるかのような、リズム感抜群の演奏をする。はっきりとした自己主張があるのだが、アンサンブルの中で決して遊離しないのも神業だ。

ノットの音楽性に改めて舌を巻いた演奏会。この指揮者は本当にすごい。東響とのコンビネーションも抜群。ミューザの聴衆は素晴らしく水準が高く、熱心。前プロ終演後からブラヴォーがかなり炸裂、最後は恒例の一般参賀。ものすごい満腹感。

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