アラン・ギルバート指揮 東京都交響楽団 12/16

大好きなマーラーの『悲劇的』をサントリーホールにて。指揮はアラン・ギルバート。

なかなか質実剛健のマーラーだった。全体的に劇的な効果はそれほど強調されないものの、着実にリズムを刻み、美しく旋律を鳴らし、全体的に落ち着いた語り口ながらしっかりとエネルギーは内包されている。ギルバートの指揮はいつもながらかなり大づかみだが、音の鳴らし方を全身で表現しているようで、純音楽的。

第1楽章から、各楽器の音の分離がきわめて明快。ただ、楽器が浮いて聴こえることはなく、それぞれのフレーズがしっかりと有機的に連動する。アルマの主題での大胆でしなやかな歌わせ方はなかなか芝居が効いている。第2楽章にはアンダンテを配し、これまた抑揚が程よくつけられていて聴き映えする。スケルツォはあまり印象に残らず。個人的には、スケルツォ→アンダンテの順で演奏される方が好みだ。長大な第4楽章を聴く前に、あの美しいアンダンテを堪能する方が自分の生理には合う。

フィナーレも、劇的効果ばかりを強調するわけではなく、大海にたゆたうかのように、大きな音楽の波に揺さぶられる。ハンマーは珍しく3回。コーダで最後の打撃が下される。ただ、こうして改めて聴くと3回目の打撃はあまり音楽の流れにハマっていない気がした。最後の大爆発で打ち下ろされるならまだ分かるのだが。

カーテンコールは、ギルバートへの賛辞が徐々に高まっていく趣で、最後は一般参賀と相成った。都響は、とりわけ弦のアンサンブルの切れ味がよく秀逸で、さらに、甲高い音を特徴的に鳴らしたクラリネットなど木管陣、さらに咆哮するホルンが健闘。トランペットが音を外すミスが気になった。

ことし、第九以外のコンサートはほぼ終わり。80公演ほど聴いたが、昨年のノット/東響のラフ2のような、突き抜けて興奮する名演奏にはあまり邂逅できなかった印象だ。

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