ファビオ・ルイージ指揮 NHK交響楽団 1/25

しばらく仕事が立て込んでいて、昨日ようやく一段落。N響のオーチャード定期を久々に聴く。ファビオ・ルイージの指揮で、聴き映え抜群のプログラム。

冒頭、ウェーバーの『オイリアンテ』序曲から、快活で勢いある音楽が小気味良い。ただ、オーチャードホールの音響が名演に水を刺す。1階の中央近くのブロックで聴いたのに、どうも音がこもった感じで響き、分離が良くない。こういう快活な音楽だからこそ、クリア音響で聴きたいにもかかわらず、もどかしい。

続いて、大名曲、リヒャルト・シュトラウスの『4つの最後の歌』。ファビオ・ルイージは、きょうのコンサート全体を通して指揮棒を持たずに指揮したのだが、そのルイージがN響から引き出す妖艶な音楽がとにかく曲想にマッチして素晴らしい。一方で、独唱を務めたクリスティーネ・オポライスという歌手の歌唱はずいぶん大味で繊細さがなく、この歌曲が内包する儚さや枯淡の味わいがあまり感じられない。超名盤で名高いヤノヴィッツとカラヤンの録音は、ソプラノ独唱の声を器楽的に扱って大成功しているが、きょうの独唱は、どうも歌詞の表現にこだわっているようにも、美しい旋律線を歌い上げているようにも聴こえず、座りが悪い感じ。ルイージの伴奏がとにかく美しく素晴らしいだけに、もったいなかった。「眠りにつく時」での、ゲスト・コンサートマスター、ライナー・キュッヒルのソロが絶美。

後半は『英雄の生涯』。お楽しみの大名曲。ルイージの『英雄の生涯』は、昔ドレスデン・シュターツカペレとの来日公演で聴いたことがあるが、ルイージの解釈はいっそう洗練されてきて、一気呵成に、一幅の音楽絵巻を鮮やかに描ききった。冒頭から音圧たっぷりにオケを鳴らし、英雄の伴侶ではふたたび妖艶な節回しでうねるような音楽をつくる。キュッヒルのソロが光る。戦場から業績にいたるクライマックスでは、早めのテンポで劇的な盛り上がりを演出して見せる。トロンボーンやチューバの割れた音がやや遊離して聴こえたのが惜しい。頂点にいたる盛り上がりでは、鋭角的に管弦楽の響きを響かせて劇的な効果を強調する。引退のエンディング、聴き慣れた版によるものではなく、おそらく初稿によるものなのだろうか、静かに終曲していった。これはこれで味わい深くて楽しめる。以前ヴォルフガング・サヴァリッシュがN響で振っていたのが、たしかこの版だったはず。テレビで聴いた記憶がある。

聴きごたえ十分の名演。ルイージの指揮は、相変わらず激しい。昔から何度もこの指揮者の実演に接し、実力に舌を巻きつつも、多少強引な音楽運びに作為を感じることもあった。しかし、きょうは終始音楽が自然に流れていた。ルイージ、いい感じに円熟している。

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