エサ=ペッカ・サロネン指揮 フィルハーモニア管弦楽団 1/29

サロネンとフィルハーモニア管の来日公演で、マーラーの9番。思えば、このコンビのコンサートはこれまでかなり聴く機会に恵まれた。前回の来日公演でのマーラーの『悲劇的』も弩級の演奏だったし、『ツァラトゥストラ』もクールで颯爽たる演奏。さらに遡ると、シベリウスの2番なども記憶に残っているし、さらに遡れば昔ルツェルンでの『悲劇的』、ドルトムントでの強烈な『トリスタンとイゾルデ』なども思い出深い。何度聴いても、若々しい印象はまったく薄れない。

きょうの前半は、サロネンの自作で、『ジェミニ』という作品。ポルックスとカストールという2曲から成る組曲のような作品だが、これがなかなか描き映えする佳曲。サロネンの作品は昔からそれほど晦渋さはないが、今回の『ジェミニ』もリズムやメロディが素直に入ってきてクールな音楽。和太鼓が用いられていたビックリ。オケも力演。30分近い大作。ブラヴォーもかなり飛び、カーテンコールも4回。

プログラムには休憩なしと記載されていたが、15分の休憩が入った。

休憩後はマーラーの9番。相当な熱演で満足。徹底的な「生」の音楽。サロネンの動的な指揮姿の印象もあるとは思うのだが、音楽それ自体が変に陰影を気にすることなく、音楽のエネルギーを開放的に爆発させるスタイルで、気持ちの良いほどすべての楽器が鳴り、そういう意味ではかなり「新しい」、斬新な解釈での9番だと思う。昔から、「死」のイメージと近接して語られ、解釈されてきた交響曲だけに、ここまで吹っ切れた開放的な解釈に恐らく違和感を覚える向きもあったと思う。しかし、そんな邪念を吹き飛ばすように、サロネンとPOは確信を持って音楽を進めて行く。第3楽章で放出された爆発的なエネルギーは、とにかく恐ろしいほど。

そしてきょうのクライマックスは間違いなく第4楽章だ。滔々と海を漂うように、美しく、深々とした音が永遠に続いていく。決して辛さはなく、もったいぶったような深遠さはないのだが、絵画的な美しさが眼前に開ていく。滅多にできない、息を飲むような音楽体験。何と美しい音なのか。フィルハーモニア管の本領発揮。浄福な心待ちで満たされ、息を呑む。音楽は徐々に鎮まっていき、最後に、いつ終わったか分からないような、長い長い長い沈黙。拍手は徐々に盛り上がり、最後はスタンディング・オベーション続出の圧倒的な拍手に。途中で引き上げたが、一般参賀は3回か4回に達した模様。

マーラーの9番で、心から満たされる実演は、個人的にはあまり経験がない。ラトル&LSOなどは、今となっては個人的にはあまり記憶に残っていない。自分の中での金字塔は、間違いなくヤンソンス &BRSOだ。「彼岸の音楽」だった。そこに、サロネン&POは間違いなく加わると思う。POを退任し、サンフランシスコ響に転出するサロネン。いつまでも若々しい。指揮の「うまさ」は当代一だろう。これからも目が離せない。

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