ジョナサン・ノット指揮 ダニエル・ホープ(Vn) 東京交響楽団 5/25

先週に引き続き、快進撃の続くジョナサン・ノットと東京交響楽団の定期演奏会をサントリーホールで聴く。前半が、ダニエル・ホープをソリストに迎えてのブリテンのヴァイオリン協奏曲、後半がショスタコーヴィッチの交響曲第5番。両曲とも相当の名演だと思った。ブリテンのコンチェルトの実演は、個人的には10年ほど前のエッシェンバッハ&フィラデルフィア管弦楽団の来日公演で五嶋みどりのソロで聴いて以来だが、そう言えばその時の公演プログラムは、きょうとまったく同じだった。珍しいことがあるものである。

ブリテンは自分自身普段まったく聴かないが、20代の終わり、アメリカで作曲したというこのコンチェルトは相当な名曲だと思った。当時のスペイン内戦に思いを馳せ、スペイン舞曲風のリズムも織り交ぜているということだが、まさに戦間期の緊迫した雰囲気に支配されたメッセージ性の強い音楽だ。

有名なダニエル・ホープ、初めて聴いたが、揺るぎない技巧と強靭かつ美しい音が圧倒的。音量も申し分なく、堂々たる演奏を披露した。第2楽章の強烈なリズムと圧倒的なテクニックに舌を巻く。ノットの伴奏も緊張感に満ちた見事なもの。大満足。ホープのアンコールは、シュルホフという作曲家の曲だった。

後半は超名曲、ショスタコーヴィッチの5番。このコンビがラフマニノフの交響曲第2番の圧倒的大名演を聴かせてくれてからちょうど半年ほど。場所もこのサントリーホールだった。そして、きょうのショスタコーヴィッチも、期待に違わぬ名演。

きょうの東響は、いつもに比べて少し細部が粗く、らしからぬミスが木管、金管に散見された。肝心なところで音が外れたりしたので多少ガクッとはきたのだが、それを補って余りある推進力と一体感で聴かせてくれた。まさに、ノットの楽器、といった感じで、トゥッティでは火の玉のように激烈に鳴り響き、そのあまりの迫力に慄然とする。第2楽章冒頭の、松脂が飛び散るかのような破壊的な進撃、そしてその後の自在なデュナーミクなど、うまく色付けをしながらも、決して恣意的にならない。

ノットは、ところどころ強烈なアッチェレランドで、崩壊の瀬戸際までオケを追い込むが、決して破綻しない。この追い込みをリズムでしっかりと支えた打楽器陣、大健闘だと思う。特にティンパニを叩いていた若い男性奏者、素晴らしい!この奏者、個人的には前から気になっており、以前飯森範親の指揮でストラヴィンスキーを聴いた時、オケのハーモニーの中で強烈に個性を放っていて、素晴らしいと感じていた。今日も素晴らしくオケ全体を支えている。オーボエの女性も見事!

終演後、一般参賀あり。やはりノットの実力はすごい。

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