酔いどれ音楽&読書日記―一人の愛好家の独白

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zoom RSS マレク・ヤノフスキ指揮 NHK交響楽団 『神々の黄昏』 4/4

<<   作成日時 : 2017/04/05 00:51   >>

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溌剌たる、最高に透明度の高いワーグナー。桜満開の上野で大感激!指揮者ヤノフスキはもう78歳なのか!信じられない!歯切れよく、小気味よい、透徹した弦のアンサンブルに、超一級の歌手陣!オペラ(楽劇)を演奏会形式で聴くことの醍醐味を、初めて身体で感じきれた、稀有なパフォーマンスだった。この音楽祭、個人的には数年前にセバスティアン・ヴァイグレ指揮の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』を聴いて以来。この『マイスタージンガー』は恐ろしいほどにつまらなかったが、今日は打って変わってエキサイティングだ。

序幕・第1幕は、やや飛ばし過ぎの感があり、いまいち乗り切れなかったが、とはいえヤノフスキの音楽づくりは明瞭きわまりない。水を得た魚のように、跳躍ぎみに弾く弦セクションのこの勢いの良さは、一体どうしたことだ!?ユニゾンの最高に鮮やかな一体感!つい先日の、ヤルヴィとの『悲劇的』での低体温症がウソのようだ。とにかく快活極まりなく、切れ味鋭い刃物のように怜悧である。

ライナー・キュッヒルをゲスト・コンサートマスターに迎えたことも大きかったに違いない。キュッヒルのコンマスとして働きっぷりの素晴らしさは、遠目の客席からも如実に分かる。身振りも大きく、音楽に乗り切っていて、キュッヒルが弾く音が、遠い客席にもはっきり聴き取れるほどだ。確信にみなぎったこのパフォーマンス、さすが、ウィーンの第一線で培ってきただけの度量と技量である。

ヤノフスキの音楽は、推進力に溢れ、恐ろしく立体的だ。ワーグナーの「どよーん」として「ぼてっ」と重い(イメージの)オーケストレーションとは綺麗さっぱり決別し、とにかくきびきびと、メリハリをつけ、音を混濁させず、音楽を前へ前へと進めていく。N響の機能性の高さも相まって、一切即物的にならないのがすごい。何事もないかのように淡々と音楽を進めているようでいて、実はとんでもない離れ業をやってのけているのである。この構成感の確かさ! 声部の明瞭さ!ヤノフスキは、「ワーグナーの対位法の妙味を表現するのは遅いテンポでは不可能」と語っているが、まさしくその言葉が音楽で表現されきっている。ワーグナーのオーケストレーションはこれほど素晴らしかったのか!大発見!!

歌手について。急きょ交代したジークフリートのベズイエンは、気の毒としか言いようがないが、やはり非力だった。素晴らしかったのはブリュンヒルデのクリスティアーネ・リボールとハーゲンのアイン・アンガー。この2人は文句なし。最高。

映像と一体化させた演出を批判する人がいたが、あの映像はきわめて良識的で、めちゃくちゃよくできている。オーソドックスに、ニーベルングの世界観を、忠実に再現していて、すごく心地いい。鑑賞に大いに助かる。

一つ言いたいのは、日本の音楽評論は、ワーグナーを特別視し過ぎている。とにかく、フルトヴェングラーだとか、クナッパーツブッシュだとか、カイルベルトだとか、その辺の古めかしい録音を取り立てては誉めそやすので、ワーグナーの音楽に「ゲルマン」や「ドイツ・ロマン」など、根拠不明の観念を植えつけ、リスナーのハードルをただただ高くしている。そんなもの、どうでもいいじゃないか!そう割り切って、オーケストレーション、対位法の妙味を純粋に味わうことが、どれほど面白いことか!「ワーグナー、かくあるべし」、その余計な思い込みを抗菌洗浄するかのようなヤノフスキの音楽が、どれほど清新なことか!ヤノフスキは、「小難しいこと」は何一つしておらず、それが最大の美点であるのだから。ワグネリアンによるワグネリアンの囲い込みだけでは、ワーグナー音楽の支持は永遠に広がらないし、理解も深まらない。今日の演奏が物語っているではないか。

快速テンポだったため、実質4時間ほどで終演。1階席で白髪の男性がスタンディングオベーションしているなと思ってよくみたら、小泉元首相。ロビー近くで、存在感を放つ別の白髪男性がいたが、こちらは飯守泰次郎氏。

帰り際、友人たちと上野公園で2時間ほど質素な花見。やはり風情がある。休日の殺人的な賑わいほどではない。少し肌寒いながらも、夜桜のもとで寿司や焼き鳥をつまみながらの人生問答。ビールやワンカップが心に沁みる!帰り際屋台をふらついたが、風情があって、不忍の池から吹く風が(少々臭いが)気持ち良い。最高に良い気分。そんなこんなで、「上野の春」音楽祭、ネーミングからして、心憎し!!

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