ロビン・ティチアーティ指揮 服部百音(Vn) ベルリン・ドイツ交響楽団 10/7

ロビン・ティチアーティという指揮者は録音を通じて名前はよく知っており、ハイドンやシューマンの鮮烈なシンフォニーはなかなか好印象なのだが、どうもレパートリーが広範すぎて、この指揮者の本分はいったいどこにあるのだろう?という気もしていた。今はベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者でもあるそうで、このコンビの来日公演を聴きに行ってみる。

東京での公演は、メインはラフマニノフの交響曲第2番、マーラーの交響曲第1番をそれぞれメインに、前半は日本を代表するようなソリスト陣とのコンチェルトを各日に配するというユニークなもの。きょうは、前半が服部百音をソリストに迎えてのショスタコーヴィッチのヴァイオリン協奏曲第1番。百音と書いて、「もね」さんと読むらしい。

このショスタコーヴィッチは、個人的にはあまり乗れなかった。服部のソロは非常に力感の漲ったパワフルなものだが、ティチアーティの伴奏含めて、どうも音楽がどこに踏み込もうとしているのか、いまいち掴みづらい。「入り込まないなぁ」ともどかしく思っているうちに終演してしまったような印象。ソリストがアンコールで弾いたクライスラーはなかなか見事な力演。

メインはお待ちかねのラフマニノフ。トータルの印象としては決して悪くない。というか、第3楽章に関しては絶美の演奏で、相当な名演だったと断言する。名門オケの面目躍如である。

この日のコンサートはオーチャードホールでの開催で、このホールで海外のオーケストラがコンサートを開く機会はここのところ非常に少ないが、音が分散するこのホールで、ベルリン・ドイツ響の和声感溢れた音色は3階の自席までうねるようにしっかり飛んでくる。同じホールで東フィルを聴くと、時折脂の抜け切ったカサカサの音が伝わってくることがあるが、そこはベルリン・ドイツ響、さすがのハーモニーとアンサンブルで聴かせる。まずはこの豊かな音圧を60分間の大曲で存分に発揮してくれたことに賛辞を贈りたい。

第1楽章から、ティチアーティの指揮の元、普段聴き慣れないようなフレーズが弦や管のあちらこちらから聴こえてきて、随分風変わりな解釈だなとは思ったのだが、これがティチアーティの解釈なのか、それともオケが好き勝手に演奏しているのをティチアーティが抑え切れていないだけなのか、この辺はなかなか際どいと思った。ティチアーティ自身も、古楽スタイルでスコットランド室内管を振る時などとはアプローチを全く変えていて、名門オケを正攻法で堂々と鳴らすので、オケはよく鳴るのだが、時折響きが混濁したり、オケの縦の線が崩れそうになる場面も散見され、ヒヤリとした。

各楽章ホットな解釈で聴かせ、とりわけ第3楽章は見事な美しさだったので、個人的には心から気持ちよく拍手を送ったが、客席の盛り上がりはそれほどでもなかった。アンコールにチャイコフスキーの『くるみ割人形』のトレパックを短くやって終演。終演後はソリストと指揮者揃ってのサイン会があった。指揮者に賛辞を伝えたが、あまりにも愛想の良い指揮者で拍子抜けだった。

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